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 いつまで続くんだろうな〜〜・・・。
 ほ〜んとに、勝手なことばかり言いおって。

 怖いもの見たさっていうのが世間にはあるんですが・・・。
一見、見た目には、面白おかしいトーク番組だなぁ、という感じがあったと思いきや。

 時は、毎週土曜日23:00。民放某局。某局っつっても、恐らく皆さんお分かりでしょう。
なんとな〜く、見ようかな・・・という、惹き付けられる興味本位な感情に任せて、ついついチャンネルを合わせちゃいます。

 初めて見たのは、23歳の時。「いや〜、面白い番組だな〜・・・」って、思ってましたよ。まだその時は。
出演している女性の方々が、どんな考え方を持っているのか、良くも悪くも参考にはしていました。
また、一般の人の方が、やたら芸能界スレをしてない妙な面白さと言うのもありました。
番組の初期の頃というのは、悪い印象の無いユニークなキャラクターの持ち主というのも何人かは居たのですが、最近は、もう、図々しさばっかし目立つよ。
まぁ、番組の面白さの半分以上は、そいつらを「プロ」として見事に捌(さば)いてる、さんまさんの面白さでしょうけど。

 23、4歳当時、その頃は、その番組の中身、意味、性質、本質は、まだ未熟だったので、見抜けていませんでした。
そもそも、自分が人生で経験して来た事を、半ば私生活をも商品として注目される価値の生じる人気タレントさんでもないのに、公然に向けてベラベラと喋る、最低な番組ですよ。
大袈裟かどうか、分かりませんが、下手をすりゃ、人権、侮辱、プライバシーの侵害で、告訴出来るに値する様な、触法ギリギリの内容でしょう。
一番難しいのは、証拠集めです。トークの中に実名や個人を特定する詳報をほとんど見かけませんから。
一緒に遊びに行ったり食事に行ったりした時の、データ、物証が残っていたら、ちょっと無理して弁護士でもお願いしたら、もしかして、もうこの番組無いでしょう。
や〜っぱり、人間(特に女性だから?)は、テレビに出ると、画面に写ってるだけで素晴らしい勘違いをするんですねぇ・・・。
注意すべきはどういうところか。警戒すべきはどういう特徴か。悪い意味で参考になることは沢山あるので、反面教師には良いでしょう。

 視聴率が取れればいいんだよね――っ。
 数字が取れりゃあいいんだよね――っ。
 注目を浴びればいいんだよね――っ。
 いちいち細かいことなんか考えてらんないんだよね――っ。

 日本は不景気だって?・・・決して、そんなことはございません。
だって、局が予算を出して、素人のねえちゃん達の暴露話をわざわざ公共の電波に乗せる為に、毎週お金出してるんだから。
これのどこが不景気なんですかぁ?

 以前、私の友人は、27、8歳だったその当時、「この番組の、男性版がないかなあ。あれば応募して出演するんだけどなあ・・・。」と言っていました。
今振り返って考えて、もし本当に出演したら、私は多分、その友人とは絶交するでしょう。
過去の自分の人間関係での出来事を、テレビを通して不特定の、大勢の他人に向かってバラしまくって楽しいか? 相手の心理を推測して物事考えること、出来てる? と、いう事を、絶交する前に一歩踏みとどまって、相手に話して理解させれば、交流を絶たなくても済むんじゃない? と、思うでしょ?
しかし、それが違うんですねぇ〜。
いま、私の年齢は三十路です。そんな年代にもなって、それくらいの認識を、人から言われなきゃ悟れないほどバカじゃ、ダメなんですね〜。
三十路まで行かずとも、二十代後半に入ったら、もう、そういう倫理観とはオサラバですよね。
他人事だから、興味本位で見られる番組。でも、自分が話題の当事者だったらイヤでしょう。気分がいいわけありません。

 この番組の人妻スペシャルで、奇異な個性を持った奥さんが一人いらっしゃいまして、司会の突っ込みを受けていました。
何を言い返すかと見ていたら、「まぁ、マトモな人はここには来ませんから。」と言っていました。
ははは、この人は自分で客観視はそれなりに出来ているのか・・・と、ちょっと感心したような。
そうです。しょうがないんです。マトモな人の集合ではないんですから。

 精神年齢の計算は、今の時代は0.7掛けだと言われてます。
つまり、実際年齢の7割が、精神年齢の成長スピードだと。
成人式を迎える「はたち」は実質14歳だと。14歳だから、つまり、中学生ですよね。
はたちの成人=中学生。まぁ、そんなもんでしょ。こないだの、2件の成人式報道を見てれば分かるでしょ。・・・話が少し逸れましたが。

 政治の世界が、メディア規制とか言って、健全な教育の向上に必ずしも相応しくない番組の規制を図るべく、協議会などを設けようという動きがある様です。
私は半分賛成。低次元な番組多過ぎます。
「政治家が何を基準に判断するんだ?」と、メディアの歴史を作り上げて来た経験のあるプロの集団でもないのに、何を材料に規制っつってるのか。
説得力が無いでしょう?
でも、そんな矛盾を挙げても規制して欲しい、と言うか、最終回にして欲しいのがこの番組です。

 幾らどんなに見事な勘違いをしたって、必ず一年後には姿を消し、誰にも見かけられなくなり、この世に居るのか居ないのか分からない状態になり・・・
そして、およそ良くも悪しきも、一時的に自分の生活範囲の周囲で話題に上る存在になります。
何年か前に、ヘアヌードまで出して目立った(これも、ある種の作戦だったのでしょうか?)元スチュワーデスさんも、今はどこに居るのやら・・・。
ヘマをすりゃ、出演する事で、誰も近寄って来なくなるんですから。ということくらいは、分かってるのかな・・・。
それも分かってないのだとしたら、自分の私生活の人間関係を維持して行くという事では、ちょっと致命的なんですけど。
でもまぁ、20歳そこそこじゃ、認識するのはちょっと難しいでしょうけど。

 私の持論を一つ。自分の彼女がこの番組に出たとしたら、私は無条件で別れます。
果てしなく育まれた恋愛感情、愛情も、一気にサ――ッと冷めていきます。
変な話、男性遍歴までヘラヘラと、平気で喋れる様な奴、バカバカしくて付き合ってられないでしょ。
おまけに、ブラウン管を通して画面の向こう側の、家族でも見ているお茶の間に流れているという認識さえ持ってないのか、目上に対する、敬意をはらう意識なんか無いみたいな、汚い話し方の応酬。
でも、今の時代って、そんなこと、良く考えないんですよね。感情に任せて思った事をそのまんま口に出してみるだけ。論理で消化して、お互いの考えを整頓している人がどれだけいるのか・・・。
仕方ないかな、前頭葉と大脳新皮質が故障してるから・・・。
しかし救いは、「故障」っていうのは、修理すればまだ直る見込みがあるんですよ。壊れたものは、諦めましょうか・・・?

Copyright(c):Yutaka Araki 著作:新木 結太佳

◆「無益な番組」の感想

*新木結太佳さんの作品集が 文華別館 に収録されています。《文華堂店主》


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