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第3回・「ヘクソカズラ」(2002.8月撮影)
へくそかづらてふ名にも似ず花やさし 新倉美紀子
山梨は明野村のひまわり畑を見た帰りだった。自宅の最寄り駅からの帰り道、路傍に小さな花が咲いていた。ひまわりとは対照的な、白くて可憐な花だ。しかし、人間は残酷な名前をつけてしまった。ヘクソカヅラ、漢字で書くと「屁糞葛」になる。その理由は、葉っぱをちぎってそのにおいを嗅いでみればよくわかる。猛烈な異臭はまさに“屁糞”。 その可憐な花の姿から、早乙女葛の別名もある。緑色の果実は、秋から冬にかけて飴色に熟成する。その果汁をひびやあかぎれの薬として 使うのだという。生薬名は鶏屎藤果(けいしとうか) 、やっぱり、屁糞葛という名前ではかわいそうだ。
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