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第2回・「ギャンブラーの夢」(1993.12月撮影)



 大阪の豊中市にある服部霊園に、坂田三吉の墓はある。将棋の神様らしく、墓石が駒の形をしているのだが、その周辺が削り取られてガタガタだ。勝負の鬼、坂田三吉にあやかりたいと、その削り取った破片をお守りとして持ち帰るギャンブラーが後を絶たないからだという。 この写真を撮ったのがもう何年も前のことだから、現在はもっとひどいことになっているのかもしれない。
 こんなむごい仕打ちをしたら、天国で眠っている坂田三吉翁も力を貸してくれないと思うのだが、ギャンブルに取り憑かれている人には馬の耳に念仏か。人間の欲望の浅ましさ、業の深さを目の当たりにしたようで、寒々とした気持になってくる。

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