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 あなたはUFOを目撃したことがありますか?
 「はい」と答える人がどのくらいいるだろう。実は、私自身UFOを見たことがある。UFOとは未確認飛行物体のことである。だから、私がUFOを見たことがあるといっても、別に宇宙船を見たとか、宇宙人に遭遇したなどと思わないでほしい。
 私が見たのは、月よりも一回りほど大きな火の塊だった。夜だった。あまりに低空を飛んでいたし、彗星が来る時期でもなかった。隕石だとしたらとんでもないことである。びっくりしてしまって、「これは大変! どこかが火事になってしまう」と思ったが、消防車の鳴らす音などついに聞こえてこなかった。海にでも落ちたのだろうか。未だにそれが何だったのか分からない。

 もう一つある。やはりそれも夜だった。最初は星だと思っていたが、よく見ると動いている。立ち止まってじっくりと眺めていると、それは大袈裟なほど、ジグザグな飛び方だった。飛行機であるはずはない。ヘリコプターはジグザグに飛ぶことができるのだろうか? それともだれかがリモコン飛行機でも飛ばしているのだろうか。考えられるだけ頭に思い浮かべてみたが、それはかなり上空を飛んでいるようで、止まっていれば星にしか見えない程小さなものだったから見当がつかない。連れていた飼い犬が引き綱を引っ張った拍子に一瞬目を離したものだから、それはもうどこかへ消えていた。
 そこで思うのだが、地球外生物は存在するだろうか。かつて火星には生命が宿っていた証拠があるという。しかしそれは現段階ではあくまでも過去形である。
 しかし、広い宇宙の中に地球という星がある以上、どこかにそれと似たような星があっても不思議ではないのだ。いや、ない方がおかしいと思う。ただお互いに、お互いの星まで飛来することなど不可能だと固く信じている。それとも、よく飛来するUFOと呼ばれるものは、本当に遠い星から来た宇宙人の乗り物なのだろうか。
 しかし私はそう思いたくない。だってそれが本当だったら恐ろしい話だ。人間も含めた生物は、みんなほとんどがお互いのテリトリーに手を伸ばそうとすれば、必ず争いが起きている。それは太古の昔から地球のあちらこちらであった事実だ。そうして領土を広めていったり、逆に占領されてしまったりという歴史の繰り返しだったのだ。戦争をしている人間だけにとどまらず、他動物のそれは、厳しい自然の掟なのである。地球以外の知的生命体がもしも本当に飛来してくるとすれば、いずれはSF映画のようなことが起きても不思議ではないと思わないか。
 昔から、発明でもなんでも人間が想像したことは、昔の人にとっては魔法のようなことでも、人間は次々と発明し、完成させていったのだ。
 科学の発達と地球を含む太陽系が存在している限り、百年後か、五百年後か、いつか光よりも速く飛ぶ宇宙ロケットができることだろう。私はその時すでにいないだろう。しかし、その時代を生きてみたい気もする。

◆「知的生命体」の感想

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*友枝さんは、旧・ライター掲示板 の8番でライター登録されています。また、「夢探検」文芸&アート リンク)というご自身のサイトで作品を発表されています。文華別館にも、友枝さんのエッセイ集が収録されています。


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