シオコさま ( No.2 ) |
- 日時: 2003/08/22 17:31
- 名前: 赤川仁洋 <touzin@sannet.ne.jp>
- 10ページを一日で書き上げるというのは、わたしの感覚では、とんでもない速さに思えます。
でも、自分で期限を決めるというのは、大切なことです。 わたしも、いつまでたってもだらだらと細部にこだわって、物語が先に進まないタイプですからね。 その点では、月刊誌というのは強制的に期限が切られているので、作者としてはありがたいですね。 編集人としては大変ですが
|
Re: 全体の感想(2003.8月号) ( No.3 ) |
- 日時: 2003/08/24 01:22
- 名前: 赤川仁洋 <touzin@sannet.ne.jp>
- 帰省のために遅くなりましたが、今月号の感想です。
そういえば、今回は、個別のスレッドが立っていませんね。 何か、抵抗があるのでしょうか? まあ、こういう場所を用意してあるということに意味があるので、自分の作品に疑問点があるときや今後の方向性に迷ったときは、気軽に利用してください。 できるだけ、対応させていただきます。
以下、作者の敬称は略させていただきます。
「たそがれまで」蒼井 上鷹
この季節にはぴったりの軽快なライトホラー。この作者らしい二重、三重の仕掛けが用意されていて、大いに楽しめます。途中に出てくる店の常連客のホラ(ホラー?)話が、アクセントとしてうまく活かされていて、最後のどんでん返しが鮮やか。ただ、先月号で使った仕掛けと類似しているので、物足りなさが残ります。それだけ、作者に対する期待が大きくなっているのでしょうね。
「古びたシャツ」かば
登場人物であるふたりの人物像が、とても丁寧に描かれていると思いました。それにくらべると、最後の部分がどうしても唐突だという印象を持ってしまいます。ホラーとしてはおもしろい設定なので、このエンディングを活かす伏線やエピソードがもっと書かれていれば、怖さの質が濃密になったのではないでしょうか。でも、意欲作だと思います。
「電気虹」シオコ
最後の方まで読んで、この小説はSFなのだということに気づきました。映画の「ウォーター・ワールド」の世界を連想しました。しかし、あえて「SF掌編」とは記しませんでした。SFとは気づかずに読んだ方が、効果的だと判断したからです。舞台設定や人物もよく書けていますが、ラブストーリーとしては“定番”という印象なので、電気虹のような工夫が何かほしかったですね。
「主犯は誰だ?」藤井 裕喜
うまくまとまっていると思います。ただ、推理小説としては不十分。犯人を特定するだけの材料が与えられていないので、最後に種明かしをされてもすっきりはしません。でも、人物の内面が丁寧に書き分けられているので、心理サスペンスとして読んだ方がいいのかもしれませんね。この作者の新たな可能性を見せていただいたようで、とても新鮮でした。
「メデューサの恋人」大暗室
雰囲気のある作品ですね。イラスト同様、作者独自の空間を創造しています。ただ、この作品では、前半部分とメドゥーサの恋人が登場してくる後半部分が、まるで別の物語のように分離してしまった感があります。状況の説明で終わってしまった前半に比べて、後半は俄然、おもしろくなるので、もっと読ませてほしいというのが正直な気持です。
「ラストラン」暮 実人
ギャンブル小説で、とくに競馬好きの人にはたまらない内容でしょうね。実生活でもギャンブルにどっぷりとつかっていたという作者の作品だけに、描写にも臨場感があります。欲をいえば、阿佐田哲也の麻雀小説のように、プロの裏技的なノウハウがもっと披瀝されていたら、さらに迫力が出たと思います。
「死×24」ナイトクローラー
これは、トライアングルの3つのキイワードに挑戦した野心作。人間の狂気を描いて、インパクトは強烈です。作品的には、この殺人ゲームの意味合いが希薄で露骨で殺伐とした描写に嫌悪感を抱いた読者もいるかと思いますが、この作品に充満しているエネルギーをわたしは評価します。自分の殻(限界)を破壊するためには、こうした破天荒な“自己表現”も、ときには必要だと思うからです。
「影の色」中里 奈央
人物の造形や描写に力があるので、安定感は抜群です。エピソードがとてもうまく使われています。ただ、生い茂った枝葉でフォローされていますが、幹の部分がやや細いかなという印象を持ちました。幹の部分でもっと独自性が出せれば、さらに魅力的な作品になったと思います。こんなところに書いて申しわけありませんが、お体の快復を心より願っています。
「夏の夜のプール」条 文多
青春時代の一ページ、そんな気持で作者はこの作品を書いたのでしょうね。作者の思い入れが素直に書かれていて好感が持てますが、その分、感傷的になり過ぎているところが散見します。作者にとっては大事件でも、読者にとっては“他人事”ですから、あまり表現が大げさになってしまうと、逆効果になってしまいます。しかし、淡々とし過ぎても味気ないですから、このあたりの塩加減が作者の腕の見せ所です。
「迫りすぎた天才」高瀬 年揮
わたしも、「ノブ&フッキー」の物真似は大好きで、楽しみにしています。とくに、バブルガムブラザーズのネタは絶品だと思います。ただ、どちらかというと玄人好みの芸人なのでしょうね。この作品もどちらかというとマニアックな題材で、一般読者にアピールするには、今少し工夫が必要なのかもしれません。
|
Re: 全体の感想(2003.8月号) ( No.4 ) |
- 日時: 2003/08/25 12:54
- 名前: ナイトクローラー <hzu01553@nifty.com>
- 参照: http://homepage3.nifty.com/YAMINABE/
- >赤川様
ご感想ありがとうございます。
えっと、この場で釈明させていただくのは適切かどうか分かりませんが、もともとトライアングルに出すつもりなありませんでした。と、いうより、まとまったのは締めきり過ぎた後だったし(笑)。 「トライアングルで出すつもりだったんですよね? ボツにしたのはどんな事情があるんですか?」みたいなメールをいただきましたので、この場で釈明させていただきます。 事情も何もありません(笑)。
キーワードから触発されて書き上げましたが、エネルギーだけで突っ走ってしまった感は確かにあります。書いてる時は意識していませんでしたが……。
|
Re: 全体の感想(2003.8月号) ( No.5 ) |
- 日時: 2003/08/31 20:13
- 名前: シオコ
- 赤川様。
気がつけばもう8月もおわり。 遅くなりましたが、感想、および作品の紹介方法のご配慮、ありがとうございました。 またよろしくお願いします。
|
シオコさま ( No.6 ) |
- 日時: 2003/09/02 02:27
- 名前: 赤川仁洋 <touzin@sannet.ne.jp>
- 9月に入っているのに、夏バテしている場合ではありませんね。
前の書き込みで、作品を書く速度のことについて言及しましたが、最き始めのうちは、あれこれ悩んでいる時間も大切だとわたしは思っています。 無理に書き進めると、どうしても登場人物が薄っぺらくなって、作者の操り人形のようになってしまいます。 最初にじっくりと登場人物を育ててあげると、やがて自己主張するようになって、人間的な奥行きが出てくるような気がします。 ときにはそれで、ストーリーが変わってくることもあるんですよね。
このあたり、みなさんはどうなんでしょう? 登場人物が自分の意志を持って自己主張しているような感覚、ありますか?
|
Re: 全体の感想(2003.8月号) ( No.7 ) |
- 日時: 2003/09/02 17:48
- 名前: シオコ
- 言い出しっぺなので、「速度」についてもう一言。
前述はあくまでも私の個人的なアプローチです。
集中力が続く期間内に仕上げるのが目的です。 時間を空けると、意識がもどるまでに時間がかかり、平気で1年とか2年ほったらかしてしまうので。
例えば何かの絵を描くとき、画用紙に全体が入るように段取って描くのが普通ですが、はみだしてもいいから、好きな場所から好きな大きさで描くという手法があります。私はこの考え方が好きで、作品作りにもこの手法を取り入れてきました。
いまはまったく逆のやり方が新鮮で、この小さなCPUが制御できる話からはじめようと思っているところです。
ただ、「速度」に関しては、書きはじめる前の段階、頭の作業の部分は計算外ですので、誤解なきようお願いします。 赤川さんのおっしゃるとおり、「最初にじっくり考える」のを大切にしたいと思っています。
|
Re: 全体の感想(2003.8月号) ( No.8 ) |
- 日時: 2003/09/02 23:30
- 名前: ナイトクローラー <hzu01553@nifty.com>
- 参照: http://homepage3.nifty.com/YAMINABE/
- >シオコ様
こんばんは。虫歯に悩むナイトクローラーです(苦笑)。「電気虹」拝読しました。
最後の鱗の辺りは少し唐突な気がしましたが、海好きとしては楽しい作品でした。描写がリアルで、潮風の香がするような気がしました
さて、速度論ですが、私の場合は完全にマチマチです。
赤川さんのおっしゃるように、登場人物が自己主張し始める(個人的には「降りてくる」と表現してます )と後は早いのですが、それまでの時間が無茶苦茶です。
ちなみに、『文華』投稿の中で最速は2日、時間がかかったのは2か月です。
参考にならない横レス失礼致しました。
|
シオコさま&ナイトクローラーさま ( No.9 ) |
- 日時: 2003/09/04 00:48
- 名前: 赤川仁洋 <touzin@sannet.ne.jp>
- この掲示板がちと寂しいので、強引に話題をつくっている感がありますが、おつき合いいただいて、ありがとうございます。
> ただ、「速度」に関しては、書きはじめる前の段階、頭の作業の部分は計算外ですので、誤解なきようお願いします。
そうですね。この書き始める前が、あれこれと悩んでしまって、大変なんですよね。 書き始める前は大傑作なのですが、どんどん書いて行くうちに、あれれ、ということがよくあります
> 個人的には「降りてくる」と表現してます
そうそう、この感覚です。 いつの間にか、自分もその作品の世界の住人になっている。 長編を書いているときは、その世界にどっぷりとはまりこんでしまって、日常生活に復帰するのが面倒になることがあります。 作品の中の人物とつき合っている方がリアルで充実感がある。 けっこう、危ない状態ですね。 これだけ入れ込んで書いても、なかなか評価してもらえないと、自分の人格を否定されたような気分になってしまう……。
なんだか、自虐的なことを書いてしまいましたね。 でも、書き続けるということは、大変なことだと実感しています。
|
Re: 全体の感想(2003.8月号) ( No.10 ) |
- 日時: 2003/09/09 15:13
- 名前: シオコ
- 気がつけば8月号も終わり。。。(こればっかりで失礼)
遅ればせながら「死×24」の感想を書きます。
いつも以上にパワフルな作品で、状況設定、結末が面白かったです。 拳銃を「女性用かも」というセリフで、主人公が女性だと先にわかってしまいましたが。 「静ちゃんでも〜使えるよ」だけで足りたような気がします。 女性器の描写の部分はある意味面白かったのですが、 「あれ、女性は見飽きるほど見るようなことはしないけどなー」とひっかかってしまいました。 (アンケートをとったわけではないのでわかりませんが、少数派ですね、そのような趣味は。多分)
24人目が暗殺者本人の死という結末のために ボスが彼女の死を望んで(予想して)いたようになっていますが それだとボス側の心理に条理を求めてしまい、 ボスはただ死体の数に固執しただけといったシンプルな設定のほうが このゲームの不条理さ、面白さが際立ったと思いました。
以上、僭越ですが、いつも氏の作品を期待している読者として、あくまでも個人的な 意見を述べさせていただきました。
|
Re: 全体の感想(2003.8月号) ( No.11 ) |
- 日時: 2003/09/09 23:55
- 名前: ナイトクローラー <hzu01553@nifty.com>
- 参照: http://homepage3.nifty.com/YAMINABE/
- シオコ様
ご感想ありがとうございます。引き続き、虫歯に悩んでいるナイトクローラーです。
今回は、ご指摘の通りいろいろ説明不足というか、推敲不足というか、とにかく欠点が散見されると自覚しております。
たとえば、ご指摘の「ボスはただ死体の数に固執しただけといった〜」も自分の中ではそれなりの答えを用意してあったのですが、枚数やら構成上、ダイナミックにカットしてしまいました(カットしすぎ)。
でも、まあ、いつもと違ったものを書いてみたかったので、当初の目的は完遂できました。付き合わされた方はたまったものではないと思いますが……
>いつも氏の作品を期待している読者として、あくまでも個人的な意見を述べさせていただきました。
ありがございます。少しでも玉の多い「玉石混交」になるべく精進致します。
それでは。 それでは。
|