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選考結果発表


【グランプリ】 「桜鬼」舘里々子(賞金20,000円)
【準グランプリ】「密封された想い」蒼井上鷹(賞金10,000円)
【愛読賞】「1と0」冬城カナエ(賞金6,000円)
【ぷりずむ賞】白樫雅規(賞金3,000円)
【選考委員特別賞】(賞金各3,000円)
 高岡水平賞:「投石PUPPY」宮沢静香
 石井久恵賞:「手髪(てがみ)HIDEN
 亜木冬彦賞:「WATER MAGIC for endless tape 」
※各選考委員の講評(クリック!)
高岡水平
石井久恵
亜木冬彦 

【個人賞】
1) 愛酒賞:「わん あんど おんりー」蒼井上鷹(純米吟醸酒1本)
2) うおのめ賞:「かぎ」草壁だいな(賞金3,000円)
  撰者の言葉(大江眞輝)
3) かきっと!賞:「その夜、女は涙を流し笑った」冬城カナエ
  撰者の言葉(鉄五郎)
4) いつも心にユーモアを!賞(各1,000円の図書カード)
  撰者の言葉(伯爵)
 ・「俺と二十二個の不思議な枕」山火霞
 ・「スパ白窓」武石集
 ・「隊長なんです」妄言王

【愛読賞得点結果&入賞者(上位5名)】
1位 「1と0」冬城カナエ 27点
2位 「鉄仮面」白樫雅規 25点
3位 「消失点」鉄五郎 22点
4位 「投石PUPPY」宮沢静香 15点
4位 「桜鬼」舘里々子 15点
次点 「灰色の失踪」冬城カナエ 11点
次点 「あなたも占い師」 山川世界 11点
(参考記録:「密封された想い」蒼井上鷹 32点 無投票なのでランク外)

【ぷりずむ賞得点結果&入賞者(上位5名)】
1位 冬城カナエ 44点
(愛読賞と重なるため、規定で次点の作者を繰り上げ)

2位 白樫雅規 25点
3位 鉄五郎 22点
3位 舘里々子 22点
5位 iuaoiio 15点
5位 宮沢静香 15点
次点 灰猫 13点
(参考記録:蒼井 上鷹 32点 無投票なのでランク外)

「愛読賞&ぷりずむ賞」の総投票数は24、うちひとつは無効と判断したため、有効投票数は23、従って、23人の応募者がエントリーしたことになります。

※受賞者の方は、こちらにコメントをお願いします。強制ではありませんが、生の声を聞かせて、いや、読ませてください。みなさんからのお祝いメッセージも歓迎します。
※賞金の振込や賞品の発送については、個別に対応させていただきます。
※賞状(サンプル)は、希望者に限り制作します。メールか掲示板にて、意志表示をお願いします。


<選考経過報告>

 トライアングル選考委員会のメンバーの意見を拝聴しながら、候補の20作品をさらに審査して、以下の11作品に絞りました。

No.10「WATER MAGIC for endless tape 」青
No.21「投石PUPPY」宮沢静香
No.22「手髪(てがみ)」HIDEN
No.23「軽やかなインベンション」桂木やよい
No.30「深紅の闇に沈む」中里奈央
No.43「桜鬼」舘里々子
No.49「23」iuaoiio
No.51「鉄仮面」白樫雅規
No.55「1と0」冬城カナエ
No.57「密封された想い」蒼井上鷹
No.69「消失点」鉄五郎

 このリストを各選考委員に提示、他の作品の復活も含めて意見を求めたところ、賛同を得て、ランキング作業に入りました。11作品ありますから、1位が11ポイント、11位が1ポイントとして計算。3人のランキングの総合ポイントを算出して、上位5作品を最終候補としました。以下、その最終候補5作品と次点の得点結果です。

1位 「WATER MAGIC for endless tape 」青 27点
1位 「桜鬼」舘里々子 27点
3位 「密封された想い」蒼井上鷹 23点
4位 「1と0」冬城カナエ 21点
5位 「投石PUPPY」宮沢静香 18点
次点 「手髪(てがみ)」HIDEN 17点
次点 「深紅の闇に沈む」中里奈央 17点

 これより、掲示板(パスワード入室)を使って最終候補作品の合評に入りました。ほぼ一週間にわたる熱心な合評の結果、グランプリの候補作が下記の3作品に絞られました。それで、最後のランキングを実行、1位が3点、2位が2点、3位が1点として計算。その結果は、以下の通りです。

1位 「桜鬼」舘里々子 8点
2位 「密封された想い」蒼井上鷹 6点
3位 「WATER MAGIC for endless tape 」青 4点

 グランプリと準グランプリが表彰対象ですので、その2作品を除いた全応募作の中から、各選考委員に特別賞を選んでいただきました。


<候補作品の感想
(赤川)
(最終候補作を除く)

No.1「紫陽花」沙倉 藍
紫陽花の特性と雰囲気がうまく活かされている。雨と虹、老いと誕生、人生を織り込んだ描写と構成は鮮やか。キイワードも、枕と消失がうまく活かされているが、23の使い方は不満。最後の部分は、いささか説明調で、評価がわかれるところ。

No.6「サンタの贈り物」さらし ゆびお
キイワードがすべてうまく使われていて、アイデアも秀逸。冒頭で出した合体ロボがうまく活かされている。ただ、全体的に推敲不足なのが残念、とくに句読点がバラバラ。文章がもっと洗練されてきたら、とつい思ってしまう。

No.19「月がおりてくる」ジャンニ
狂気の世界を描いて、才気煥発。イメージをキャンバスにぶちまけているようでいて、描写や構成は意外と計算されている。ただ、こうした手法は一見新しいようだが、新鮮みは乏しい。キイワードの使い方は不満。

No.22「手髪(てがみ)」HIDEN
3つのキイワードが、しっかり使われている。タイトルもうまいし、完成度の高いホラーに仕上がっている。ただ、回想シーンでもいいから、芙美の人間的な個性を書いてほしかった。そうすれば、芙美の怨念の切実さが、読者まで届いたのではないか。このままでは、ただ怖いだけの存在(モンスター)になっている。

No.23「軽やかなインベンション」桂木 やよい
日常生活のささやかな事件を題材にして、現代の家族関係の有り様を巧みに描いている。モノクロームのような淡々とした描写も、作品の雰囲気によくマッチしている。欠点の少ない佳品だが、コンテストとしては、インパクトに乏しい。

No.30「深紅の闇に沈む」中里 奈央
艶麗な闇の世界を、正攻法で堂々と描いた意欲作。わたしは、谷崎潤一郎の作品を連想しました。これだけ自分のイメージを重厚に表現できる人は希少。ただ、題材や手法がオーソドックスなだけに、新鮮みは乏しい。

No.32「息子の絵」草壁 だいな
キイワードがとてもうまく使われている。ホラーを予感させる設定だが、それは作者のミスリードで、ファンタジーに仕上げたところがお見事。わたしも引っかかりました。好感の持てる佳品だが、コンテストとしてはライト。

No.34「あなたも占い師」 山川 世界
パワフルなコメディで、皮肉もよく効いている。エンターテナーとしての素質は十分。設定もユニークだが、占いや予感が的中したら、というシチュエーションは、類例が多いのも確か。23の使い方は不満。

No.40「夢レンタル」射谷 友里
描写はまだぎこちないが、物語はよく練られている。前作に比べて、格段に進歩した作者のひとり。男女の愛憎というテーマに、何か新鮮な素材をプラスしたら、読み応えのある短編になりそう。挑戦してみてください。23の使い方は不満。

No.49「23」iuaoiio
23がキイワードとは言い難いが、数字のキイワードで誕生した異色作。意図的に読者を幻惑させる重層的な構成はおもしろいが、読者を選別してしまったのも確か。それだけに、評価の分かれる作品。

No.51「鉄仮面」白樫 雅規
硬質な文章で、男の世界を活写。もっと長いものを読みたいと思わせる力を持っている。病院内のシーンもリアルに描かれているが、喘息の注射をしてもらったはずの清が、またすぐあとで喘息の発作をおこして注射を受けにくるなど、段落の文頭の処理も含めて全体的に推敲不足なのが残念。

No.60「楽園とランダムな鳩」サイキ カツミ
エッセイ風の軽やかな筆致が魅力。猫や人間の死を題材にしているが、それを乗り越える、いや、乗り越えようとする人間をさらりと描いて好感。この透明感は、才能だろう。ただ、コンテストとしてはライト。キイワードの使い方は不満。

No.69「消失点」鉄五郎
文章、構成ともに、完成度の高い作品。キイワードをうまく使ったアイデアも秀逸だが、人間の念ずる力を題材にした作品は類例が多く、トライアングルでも散見。この作品をベースに、独創性のある物語をこれから展開してほしいところ。

No.79「敗れ去るものたち」山下 泰昌
短い掌編の中を、さらに複数のエピソードで分割するという手法には意表を突かれたが、賛否はわかれるところ。かなりの実力者で、ノンフィクション風の描写は迫力あり。次作が読みたかった作者のひとり。

No.80「五月の狩りは軽やかに」灰猫
思春期の少女の複雑な内面を、巧みに描いている。ただし、題材、切り口ともに、新鮮さは乏しい。それをこれだけ読ませてしまうのは、作者の力量だろう。キイワードの使い方は不満。


<総評(赤川)
〜トライアングルを終えて〜

 昨年12月15日から募集を開始してちょうど7カ月、どうにか結果発表までこぎ着けることができました。協力していただいたすべてのみなさまに感謝いたします。
 わたしは、こうしたエベントを開催した経験もなく、机上のシステムがうまく機能するかどうか不安だったのですが、概ね、期待通りに働いてくれたと判断しています。しかし、反省材料も多く見つかりました。募集期間中はトップページを用意しなかったため、 連絡や告知が疎かになってしまいました。また、じっくりと作品を評価するために、選考期間を2カ月としたのですが、これはいささか長すぎたようです。次回の改善点とさせていただきます。

 さて、トライアングルの選考結果は決定しましたが、それがすべてではありません。個人賞を募集しているのはそのためです。実際、「候補作品発表」のあとで、新たな個人賞の申込みがありました。候補作から外れた作品を評価するためです。トライアングルでは、そうした多様な視座からの評価を歓迎します。これが、すべての応募作が読めるネット文学賞の最大のメリットだと思うからです。

 途中でサーバートラブルを告知しましたが、 その後のことを報告しなければならないでしょうね。トライアングルでレンタルしているHPスペースサーバー「使えるねっと」に質問状を送信したのですが、返信がないのです。3度、違う文面で送信したのですが、何の反応もありません。ただただ、呆れるばかりです。また、わたしが使用しているマッキントッシュと、ここのサーバーは相性が悪いようです。読み込み状態が続いて、トライアングルの画面が表示できないことがあります。トライアングルが終了した今、早い時期での引っ越しを考えています。

  トライアングルの募集要項では、「ジャンル、応募資格ともに不問。ノーベル文学賞受賞者でも、小学生でもオッケーです。」と告知しています。6月15日の「候補作品発表」のあとで、応募者のひとりである水無月棗さんのお父さまからメールをいただきました。そのメールで、 水無月さんが現在中学一年生であり、「不運祭のあとに」を応募されたときは小学生であったことを知りました。水無月さんご本人の許可を得て、そのことを紹介させていただきます。ノーベル文学賞受賞者の参加はなかったようですが、85作品、56人の方に参加していただいたことを、わたしは心から誇りに思っています。ありがとうございました。

 これは、感想掲示板の「委員長のひとりごと」にも書いたことですが、わたしはみなさんに、応募作を積極的に書き直していただきたいと思っています。枚数制限やキイワードの制約なしに思う存分、物語や文章を改稿してください。あなたの代表作が誕生するかもしれません。
 トライアングルの目的は、個々の作者のレベルアップです。換言すれば、トライアングルはそのための道具であり、過程にしかすぎません。オリジナリティ溢れる作品を生み出すために、そしてより小説力をアップさせるために、次回のトライアングルにも多くの方が参加していただけることを願っています。


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