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全体の感想(2003.11月号)
日時: 2003/11/15 13:42
名前: 赤川仁洋   <touzin@sannet.ne.jp>

今月号の全体の感想や、個別のスレッドが立っていない作品の感想は、ここでお願いします。作者や作品を侮辱するような発言は、ご遠慮ください。
よろしくお願いします。
メンテ

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Re: 全体の感想(2003.11月号) ( No.1 )
日時: 2003/11/16 11:51
名前: 模ノ草五郎  <monogusa_goro@yahoo.co.jp>
参照: http://www.geocities.co.jp/Bookend-Yasunari/3931

「名文美術館」を時々書かせてもらっている模ノ草です。
今回初めて短編を掲載させて頂きました。そこで、同時掲載されたのも
何かの縁、投稿・寄稿作品に関して何回かに分けて感想を書かせて頂こう
かと思っています。ここへ書き込むのは初めてなので、トップバッターで
書くのも勇気が要ります。今回は、まず私と同じ短編部門の作品です。

ナイトクローラーさんの「舐メラレ」
物語に引っ張られて一気に最後まで読んでしまいました。なかなかの
ストーリーテラーですね。ありがちな設定でありながらも、最後まで
飽きさせません。最後のオチに関しては賛否両論分かれるところでは
ないでしょうか。小心者の私としては、女性の読者の反応が気になる
ところです。私自身は男なので、否定はできないんですが...

蒼井上鷹さんの「真似するな」
こちらもストーリーに引きこまれて一気に最後まで読みました。そして
何よりも着眼点が面白いですね。最近世間を賑わせている事件を見ると、
現実の犯罪がテレビの真似をして、その犯罪の影響を受けたテレビドラマが
また作られてといった感じで、何か虚構と現実の間で負の帰還増幅がかかる
ことによりどんどん凶悪化していくような感じを受けます。そういった恐怖を
うまく描いていますね。長編の題材にもなりそうなテーマだと思いました。

次回は掌編部門の感想を書かせて頂けたらと思っています。
ではまた。
メンテ
Re: 全体の感想(2003.11月号) ( No.2 )
日時: 2003/11/16 22:07
名前: 模ノ草五郎  <monogusa_goro@yahoo.co.jp>
参照: http://www.geocities.co.jp/Bookend-Yasunari/3931

再び模ノ草です。今度は掌編部門の作品に対する感想です。

かばさんの「喫茶店での夢」
この作品に関しては、あまりコメントするとネタばらしっぽく
なってしまいそうなので書けませんが、同じ題材をカメラマンの
視点からも描いてあるとどうなるのかなという興味を感じました。

舘里々子さんの「戦いは終らない」
「戦い」を避けようとする大人達と、図らずも「戦い」のなかへと
踏みこんで行かざるをえない若い魂の対立を、あえて短いスケッチの
なかで鮮やかに描いてみせたといった感じでしょうか。それでも、
もっと長い形で「終らない戦い」の続きも読ませてほしいと思ったのは
私だけでしょうか。

ますゐ英人さんの「目玉がずんぐり返った人の話」
出だしの「今時の女子高生ふう会話」の部分には、充分にオジさん
世代の私として、「ちょっと待ってくれ」という感じでしたが、
読み進むうちにこの奇妙な感覚にどんどん引きこまれていきました。
「目玉がひっくり返る」という表現は隠喩的にも受け取れますが、
何だか妙なリアリティーを持っていますね。

Paraさんの「時間屋」
最近の暗い世相を反映してか未来に希望を感じられない人が増えて
いるみたいですね。そういう意味で、私自身も身につまされる話でした。
とてもまとまりのある作品で、このまとまりの良さを「心地よい」と
感じるか「出来すぎだよ」と感じるか意見が分かれるところかも
しれませんね。

蓮見琳人さんの「向日葵」
申し訳ありません、私がもっとも苦手とするジャンルの作品でして、
公平な視点で意見を述べられる自信がありません。マーケット的に見れば、
推理小説と並んで大きな需要がある分野ですよね。私の好きなジャン・
ジャック・ベネックスの「ベティー・ブルー」を思い浮かべましたという
程度のコメントに今回はとどめさせて頂きます。

次回はエッセイ部門の感想を書かせて頂こうかと思っています。
メンテ
Re: 全体の感想(2003.11月号) ( No.3 )
日時: 2003/11/17 22:02
名前: 模ノ草五郎  <monogusa_goro@yahoo.co.jp>
参照: http://www.geocities.co.jp/Bookend-Yasunari/3931

またまた模ノ草です。これで終わりにしますので、いましばらく
おつきあいを。今度はエッセイ部門です。

条文多さんの「夢について」
実は私も歯の夢はよく見るんですが、こんな意味があったんですね。
勉強になります。実はもうひとつよく見る夢があるんですが、そっち
のほうはモロにフロイトっぽいので公の場で言及するのはやめておき
ます。楽しく読ませてもらいました。

高瀬年揮さんの「活きたいんや」
誰が言ったか「阪神が優勝すると景気が回復に向かう」という言葉を
信じて、私も今年阪神を応援してきました。そういうよこしまな気持
で阪神を応援したらイカンですかね。藁をもすがる気持です、勘弁して
ください。日米野球の比較のくだりは、日本企業と米国系企業の両方で
働いたことがある私には、納得がいきました。

田島春さんの「トランスクライバー」
実は私も、業界はまったく違うのですが、キーボードを使う仕事を
かれこれ20年近くしているもので、なんだか他人事と思えない話だな
と思って読んでいたら、どうやら田島さんとは完全に同世代みたいですね。
どこの業界でも、ここ20年くらいは、日進月歩するテクノロジーに
振りまわされてみんな右往左往しているということですかね。読んでいる
うちに妙に親近感が湧いてきました。この世知辛い世の中、お互い何とか
うまいこと乗りきりましょう。

長々と好き勝手なことを書いてしまいました。もしもみなさんのお気に触る
ような言いまわしがあったとしたら申し訳ありません。それは私の文章の
稚拙さに起因するものです。「模ノ草のバカがでしゃばって何だかエラそうな
こと言ってやがる」とお思いになって、ご容赦のほどを。失礼致しました。
メンテ
Re: 全体の感想(2003.11月号) ( No.4 )
日時: 2003/11/20 16:51
名前: 赤川仁洋  <touzin@sannet.ne.jp>

模ノ草さん、丁重な感想、ありがとうございます。
こうしてちゃんと読んでいただけると、編集している者としても励みになります。
これからもよろしくお願いします。

では、わたしの簡単な感想を書かせていただきます。いつのもように、作者の敬称は省略させていただきます。

・掌編小説

「喫茶店での夢」かば

モノクロのような抑えた描写で、うまく雰囲気を出しています。エンディングもおもしろい。ただ、その背景になる事件が弱すぎます。それこそ、死んでも死にきれないようなエピソードを創作しないと……。もったいない。


「戦いは終わらない」舘 里々子

ある一場面を切り取っただけで、教育現場の問題点やベテラン教師のやるせない思いが浮かび上がってきます。作者の確かな技量を証明した作品ですが、この枚数では物足りなさが残ります。わたしは、生徒の女子高生の言動が、ステレオタイプに感じました。


「目玉がずんぐり返ったひとの話」ますゐ 英人

前二作の古文調から一転して、今回はジョシコーセーのベシャリできましたか。このアッケラカンとした口語体は、タイトルにもよくマッチしていますが、さて物語はなんだと振り返ってみると……。今回の奇想は、パワー不足だったような気がします。


「時間屋」para

ちょっと毒のあるファンタジーですね。時間屋に頼らずとも、過去の思い出に生きている人はたくさんいるのでしょうが……。そうした生き方を否定できないのは、それだけわたしが年をとったからでしょうね。ほろ苦いエンディングが、作品全体を引き締めています。


「向日葵」蓮見 琳人

正攻法のラブストーリー、それだけに、定番という印象は拭えません。ただ、恋人たちの出会いのシーンやキャラクターは、とても魅力的に描かれています。もっと物語を工夫すれば、小説としての価値は格段にレベルアップします。頑張ってください。


・短編小説

「舐メラレ」ナイトクローラー

この作品を読んで、不快感を覚える人も多いでしょうね。でも、わたしはおもしろく読みました。見栄えや体裁のいいことを書いて7人の好感を得るよりも、7人に不快感を与えても、3人に衝撃を与える小説の方が、わたしは力があると考えています。この作品は、そうしたインパクトの強さを持っています。


「真似するな」蒼井 上鷹

しっかりした小説空間が、出来上がっています。これは、描写に安定したリズムがあるからです。ここまで書けるようになるまでが難しい……。ただし、この筋立ては強引。この弁護士が、こんなことまでする理由が必要です。中途半端な金額のお金では、弱すぎます。


「松下村塾の怪」模ノ草 五郎

日本版の「ファウスト」でしょうか。サンジェルマンの正体が隠されているので、話の筋がすっきりしないのですが、連作ですので、次回以降への期待感につながります。吉田松陰の人間味のあるキャラクターが新鮮でした。


・エッセイ

「夢について」条 文多

わたしは、夢の内容を覚えていないことの方が多いんですよ。あまり楽しい夢はみたことがないので、忘れた方がいいのかもしれませんが……。だから、大笑いした夢、大いに気になりますね。


「活きたいんや!」高瀬 年揮

とてもうまくまとめられていると思います。ファンの熱狂からは距離をおいた冷静な視線が印象的です。なるほどという説得力もあるのですが、欲を言えば、もうひとつ何か独自色がほしいところ。しかし、これが本当に難しい……。


「トランスクライバー」田島 春

専門的な技能を身につけたいと思ってる人には、バイブルのような内容ですね。「仕事は会社で覚える」という言葉、作者の実体験がベースにあるだけに、説得力があります。個人的には、作者の結婚観に興味津々ですが、勝手ながら、これはまた別の作品で期待しております。
メンテ

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