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 坐骨神経痛を伴う腰痛が改善しないので、隣町の三次中央病院の整形外科を受診した。備北地区では、庄原赤十字病院と並んで中核の総合病院である。地元の庄原日赤で受診するのが普通 なのだが、ここのエッセイでも書いているように、母親の受診&入院時で納得のいかない対応を繰り返されたので、なるべくなら関わりたくないという負の感情ができてしまっている。
 それにしても、ただ受診するのがこんなに大変なのだとは思わなかった。店の定休日である月曜日に受診する予定でいたのだが、受け付けは何時からだろうと病院のホームページを訪問して、整形外科は原則として紹介状がないと初診は受け付けないという注意書きに気づいた。
 安易な受診で地域の基幹病院が混雑するのを防止するのが目的なのだろうが、まず小さな病・医院で診てもらってから、手に余るようなら大きな病院に来てください、では、医療機器の整った大病院でしっかり検査をして欲しいと望んでいる患者にとっては二度手間になる。
 文句を言っても仕方がないので、いつも痛風の薬を出してもらっている医院に行って、紹介状を書いてもらうことにした。依頼した翌日に、医院から予約の日時が決まったという電話がかかってきた。その日は店の定休日ではないので、予約の変更はできないのかと尋ねると、直接、病院に問い合わせてくれという。中央病院に電話して、受診日を変更してもらった。この辺り、やはり病院主導で、つまり病院の都合で進行しているような気がしてしまう。
 医院まで紹介状(正式名称は診療情報提供書)を取りに行って(千円弱の手数料が必要)、それでようやく受診することができた。手続きを済ませて、整形外科の待合室で待っていると、看護師に名前を呼ばれて、診察前にレントゲンを撮ってくるようにと指示された。
 胸部や骨折時の足のレントゲンは撮ったことがあるが、腰部は初めて。レントゲン室の前の小部屋で、上着とズボンを脱いで、指定された浴衣のようなものに着替えた。薄手でワンピース状になっている。
「パンツの腰のゴムの部分が影響することがあるので、少し下げさせてもらいます」
 レントゲン技師の青年がそう言って、台の上に横たわったわたしの診察着の裾から手を入れて、パンツを下にずらしたのである。爺さんでもやはり恥ずかしい。女性でも同じ手順で行うのだろうか、まあ、当然の疑問である。そのときは、拒否権はあるのか?
 体勢をいくつか変えて撮影、そのあと診察を受けたのだが、レントゲンだけで結果がわかってしまった。腰椎すべり症、腰椎の一つがすべり出てしまっていて、それが神経に当たって痺れや痛みが出ているらしい。
 自分の症状から、脊柱管狭窄症ではないかと自己診断していた。MRIで精密検査をしてもらって、結果が出るものと思っていたが、これでは近所の整形外科を受診しても同じ結果が得られたことになる。しかし、すべり出た腰椎がどれだけ神経に影響しているかを調べるために、後日、MRI検査を受けることになった。
 ちなみにMRIは、Magnetic Resonance Imaging(磁気共鳴画像)の略語で,強力な磁石でできた筒の中に入り、磁気の力を利用して体の臓器や血管を撮影する検査のこと。体験者に聴くと、30分ぐらい撮影が続くのだそうだ。診察したドクターの説明では、痛みがひどければ神経のブロック注射、さらに症状が悪化すれば手術ということになるらしい。
 そうした外科的処置はなるべく避けたいので、さっそく腰椎すべり症のリハビリ本をネットで取り寄せて試している。テニスボール3つを連結して、それを背中の下に置いて神経のツボ?を刺激する。今のところ、あまり効果なし、雨が続くと相変わらず痺れや鈍痛がひどくなる。
 若い頃だったら悲観して、あれこれ思い悩んだのだろうが、悲壮感はあまり感じていない。老化なのだから仕方がないという意識がどこかにあるのだろう。重い古本を運んだときに痛めたので、職業病でもある。こうやって老いてゆく身体と、根気強く付き合ってゆくしかないではないか……。

Copyright(c):Masahiro Akagawa 著作:赤川 仁洋


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*亜木冬彦&赤川仁洋の作品集が文華別館に収録されています。


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